2016年1~12月
今月のトピックス 2016年1~12月
- 2016年 1月 『災害を受けたときの相続税の軽減』
相続税の申告期限前に、相続等で取得した財産が、災害により被害を受けた場合で、次のいずれかのケースに該当するときは、相続税額の計算におけるその財産の価額は、被害を受けた部分の価額を控除した価額とすることができます。
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①相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価額(債務控除後の価額)のうちに被害を受けた部分の価額の占める割合が10分の1以上であること。
②相続税の課税価格の計算の基礎となった動産等(金銭及び有価証券を除く動産、土地及び土地の上に存する権利を除く不動産及び立木)の価額のうちに動産等について被害を受けた部分の価額の占める割合が10分の1以上であること。
- 2016年 2月 『国外居住親族に現金手渡ししたときの扶養控除の適用の可否』
国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受けようとする場合には、「送金関係書類」の提出又は提示が必要とされていますので、「送金関係書類」の提出又は提示がない場合には、その国外居住親族に関しては、扶養控除等を適用することはできません。
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「送金関係書類」とは、金融機関の書類又はその写しやいわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しなどで、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払いを必要の都度、各人に行ったことを明らかにする一定の書類のことをいいます。
なお、居住者から現金で渡した旨の申立書が提出又は提示された場合であっても、その申立書は、所得税法に定める「送金関係書類」には該当しませんので、その国外居住親族については、扶養控除等を適用することはできません。
- 2016年 3月 『非居住者に不動産の賃貸料を支払ったとき』
非居住者や外国法人(以下「非居住者等」)から日本国内にある不動産を賃借して、日本国内で賃借料を支払う者は、非居住者等に対して賃借料を支払う際に、20.42%の税率で、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。なお個人が自身や親族の住居用として、非居住者等から不動産を借り受けている場合には、その個人は、支払の際、源泉徴収をする必要はありません。
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また、我が国が締結している多くの租税条約では、土地等の不動産の賃借料については、不動産の所在する国においても課税できるとする規定を置いています。したがって、非居住者等に対して日本国内にある不動産の賃借料を支払った場合には、租税条約においても、その非居住者等が受領した賃借料について、我が国で課税できることになっていますので、国内法どおりの課税をすることになります。
- 2016年 4月 『受け取る保険金が未確定のときの医療費控除』
自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けるとこができます。この医療費控除の対象となる医療費に関して保険金などで補填を受けた場合には、保険金などで補填された金額を差し引かなければなりません。保険金などとは、生命保険契約で支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費、家族療養費、出産育児一時金などのことをいいます。
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年末付近で支払った医療費などでそれを補填するための保険金の額が、確定申告するまでに確定していないような場合には、受け取る保険金等の額を見積もって、その見積額を支払った医療費から控除して確定申告をします。そして、後日、その保険金等の確定額が、見積額と異なることとなったときは、遡ってその年分の医療費控除額を訂正しなければなりません。
- 2016年 5月 『滞在地が複数ある人の居住者・非居住者の判定』
ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断します。
滞在日数のみで判断するものでもないことから、外国に1年の半分(183日)以上滞在している場合でも、日本の居住者となる場合があります。
また、一年の間に居住地を数か国にわたって転々とする、いわゆる「永遠の旅人」の場合でも、その人の生活の本拠が日本にあれば、日本の居住者になります。
なお、日本以外の国で居住者と判定され、日本でも居住者と判定される場合は、租税条約や相互協議等によって判断します。
- 2016年 6月 『空家にしていたマイホームを売ったとき』
マイホームを売ったときには、譲渡所得から最高3千万円まで控除できる特例があります(居住用財産を譲渡した場合の3千万円の特別控除の特例)。
この特例を受ける要件の一つに、現に自分の住んでいるマイホームを売ること、があります。しかし、過去に住んでいたマイホームを売った場合でも、次の二つのいずれにも当てはまるときはこの特例が受けられます。
(1) 売った家屋は自分が所有者として住んでいたものであること。
(2) 自分の住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までにその家屋を売ること。
この期間を過ぎてから売った場合にはこの特例を受けることはできません。
- 2016年 7月 『個人事業者の自家消費の取扱い』
消費税は、原則として実際に受領した課税資産の譲渡等の対価の額が課税標準となります。
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しかし、個人事業者が自分の販売する商品や事業に用いている資産を家庭で使用したり消費した場合(自家消費を行った場合)、課税資産等の譲渡の対価の額の受領はありませんが、その時点で、原則として、時価により譲渡したものとみなされ、消費税の課税の対象となります。
ただし、棚卸資産を自家消費した場合は、その棚卸資産の仕入価額以上の金額、かつ、通常他に販売する価額のおおむね50%に相当する金額以上の金額を対価の額として確定申告したときはその取扱いが認められます。
- 2016年 8月 『医療費控除 眼科医に支払う治療費等』
①レーシック手術の費用
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レーシック手術は、角膜にレーザーを照射して近視や乱視などを治療し、視力を矯正する手術で、眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させるものです。それに係る費用は、医師の診療又は治療の対価に該当し医療費控除の対象となります。
②オルソケラトロジー治療の費用
オルソケラトロジー治療の費用は、角膜を矯正して視力を回復させる治療の対価として支払われるものであり、医師による診療又は治療の対価に該当し、医療費控除の対象となります。
③眼鏡やコンタクトレンズの購入費用
近視や遠視などのために日常生活の必要上購入する眼鏡やコンタクトレンズの購入費用等は視力を回復させる治療の対価に該当しませんので、医療費控除の対象となりません。
- 2016年 9月 『住宅取得等資金とそれ以外の財産を同一年中に贈与されたとき』
住宅取得等資金の贈与を受けた場合、それぞれの要件を満たせば、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」と「相続時精算課税」を併用することができます。
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同一の者から住宅取得等資金の贈与とそれ以外の財産の贈与同一年中に受けた場合に、住宅取得等資金の贈与について相続時精算課税を選択(住宅取得等資金について贈与税の課税価格に算入される金額がある場合に限る)したときには、それ以外の財産についても相続時精算課税が適用されます。この場合、まず、住宅取得等資金の額から非課税の特例の適用を受ける非課税額を控除し、控除しきれなかった住宅取得等資金の額とそれ以外の財産の額の合計額から相続時精算課税の特別控除額2,500万円を限度に控除します。なお、これらの控除をしても控除しきれなかった残額に対しては、20%の税率で贈与税が課税されます。
- 2016年 10月 『婚礼に係る費用とは?』
婚礼に係る費用とは、受贈者の挙式や結婚披露宴を開催するために必要な費用(会場費、衣装代、飲食代、引き出物代、写真・映像代、演出代、装飾代、ペーパーアイテム(招待状等)、人件費など)をいいます。したがって、挙式や結婚披露宴を開催するための費用ではない、次のものは対象とはなりません。
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・結婚情報サービスの利用、結婚コンサルサービスなど婚活に要する費用
・両家顔合わせ・結納式に要する費用
・婚約指輪、結婚指輪の購入に要する費用
・エステ代
・挙式や結婚披露宴に出席するための交通費(海外渡航費を含む)や宿泊費
・新婚旅行代
- 2016年 11月 『従業員等のマイナンバーが漏えいした場合の罰則』
従業員等のマイナンバー(個人番号)が記載された給与所得の扶養控除等申告書などが漏えいした場合でも、特定個人情報が漏えいした場合の罰則の適用は故意犯を想定したものとなっており、意図せずに特定個人情報が漏えいしたとしても、特定個人情報を取り扱う者に対して直ちに罰則が適用されることはありません。
また、同様に、従業員に対する監督・教育を行うなど、事業者が安全管理措置を適切に講じていれば、意図せずに特定個人情報が漏えいしたとしても、事業者に対して直ちに罰則が適用されることはないとされています。
なお、特定個人情報を取り扱う者が正当な理由なく故意にマイナンバー(個人番号)を含む情報を漏えいさせた場合には、刑事罰が科されることとなります。
- 2016年 12月 『還付加算金がある場合の課税売上割合の計算』
国税等の還付加算金は、税務署長等が還付金等を還付し、又は充当する場合に、所定の期間の日数に応じ、その金額に所定の割合を乗じて計算した金額を還付金等に加算するもので、利息計算と同様の方法により計算します。
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同様の方法により計算する延滞税及び利子税がその額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税等となり、消費税の課税対象外(不課税)となることから、還付加算金についても資産の譲渡等の対価には該当しないものとされています。
したがって、還付加算金の支払を受けた事業者は、その還付加算金の額を課税売上割合の計算上、分母の金額に算入する必要はありません。